スクラム・トランプ
(以前からはてなダイアリー、はてなブログで公開しているのと同じものです。)
スクラムのエッセンスを手軽に体験できる、トランプカードを使ったワークショップを紹介します。短時間(20〜30分程度)でスクラムの役割の意味を把握し、スクラムにどんな効果があるのか理解できます。チームで理解のベースラインを合わせて、チームビルディングにもなります。事前準備はほとんどいりません。
以前に id:nawoto = 西村直人さん(スクラムブートキャンプ本の執筆や、アジャイルサムライの翻訳)と一緒にすくすくスクラムに登壇したとき、新しいゲームとして作って実施したものです。最近では西村さんが「アジャイル開発基本のキ」セミナーの中で採用しているので、やったことがある人も多いと思います。
学び:
- コマンド&コントロールと自己組織化チームの差
- 自己組織化チームは自ら変化するという気づき
- 全員がゴールを共有することの大切さ
- POと開発チームの役割
必要な事前準備:
- トランプ (参加者5〜7名ごとに1セット) ジョーカーは使いません
- PO向けのプロジェクトゴール資料を印刷する (印刷せず、口頭で説明するのでも大丈夫です)
やりかた:
以下はファシリテータへの指示です。この手順を参考にしてワークショップを進めてください。
- 参加者を5〜7名ずつのグループにします
- 各グループでプロダクトオーナー(PO)役を決めてもらいます。他のメンバーは開発チームになります
- 全員に向けてゲームのルール(後述)を説明します
- 西村さんのプレゼン資料を使うと便利です http://www.slideshare.net/nawoto/basic-of-basics-of-agile-development-returns 52ページ目あたりから
- POだけを集めて、プロジェクトのゴールを説明します
- プロジェクトのゴールはPOだけに伝え、他のメンバーに知られないようにしてください
- 1回目のゲームをやります
- 5分以内にリリースしてゲームを終えるよう指示してください
- 5分経過したらゲームを終了します。各チームに状況を話しあってもらいます
- ここで、POは種明かしとしてプロジェクトのゴールをチームに伝えます
- 1回目はうまくできたか、ゴールを知った上でもっと上手にできるか話し合います
- ゴールを全員が知った状態で、同じルールで2回目のゲームをやります
- 1回目と2回目の違いを、各チームで話し合います
プロジェクトのゴールはこちらを見てください。印刷してPOに配っても、内容を口頭で伝えてもいいです。ほかの参加者にはバレないよう気をつけてください。うっかり見てしまわないよう、PDFにパスワードをかけています。パスワードは「scrum」です。
話し合いの時間を調整して、短ければ全体を20分以内に終わらせることもできます。学びを強調するのであれば、チームごとの話し合いに加えて、ファシリテーターからもチームの様子をフィードバックしたり、重要な要素について解説を加えたりしてください。
ゲーム中、手順やルールに明示していないことは、基本的になにをしても構いません。参加者がなにかアイデアを見つけたら、試してみるよう促してください。ただしファシリテーターが教えてしまったり、ヒントを出したりしてはいけません。(例: 全員カードをオープンにする、など)
ゲームのルール:
- 開発チームに1人5枚ずつトランプを配ります。残りは伏せて置いておきます(これを「山」と呼びます)。POには配りません。
- 配る枚数はチームの人数で調整します。トランプは計52枚で、ゲーム中に追加で5枚ずつ引くことになるので、開発チームが4名なら8枚、5名なら5枚、6名なら3枚となります。
- POが何のカードがほしいか宣言します。マーク(スート)と数字で指定します。
- 例: 「ハートの3がほしい」「クラブのK(キング)がほしい」
- 途中で変更したり、ほかの言い方をしてはいけません。×「なんでもいいからエース」×「スペードの5から8」×「(出されたカードを見て)もう絵札はいらない」
- 開発チームは1人ずつ、まず山から1枚引き、そのうえでPOが欲しそうなものを手札から1枚選び、テーブルに出します。
- チーム全員がトランプを出したら、POはそこから1枚選んで取ります。残ったトランプは捨てます。
- 2〜4を5回繰り返し、POの手元に5枚のカードがそろったら、リリースとなります。
- 5分以内にリリースしてください
説明は以上です。